8月の新幹線にて
今、私はこのコラムを東京発博多行き新幹線の中で書いています。今日は8月11日。沢山の人がお盆休みに入り、東京駅は帰省客でごった返していました。新幹線の自由席を求め並ぶ人、荷物が多く移動にてこずる人、案内板を探してウロウロする人、目的のホームまで足早に歩く人、人、人・・・
それぞれがそれぞれの目的で移動する駅の中で、発車時間が迫っていたこともあり、私は「いかにスムーズにこの人混みを抜け自らの目的のホームまで辿り着くか」ということ一点のみに集中し、歩きました。こういう時の私は、少々殺気立っています。おそらく顔は強張り、また口調も普段よりも倍は荒くなります。普段の私はまあまあ穏やかな性格なのですが・・・。新幹線の座席に座りお茶を一口飲んだところで、ようやく緊張が解けていくのがわかりました。
喧騒の中で、ふと、これまでに2度体験したグループの静けさを思い出しました。1度目はほとんど言葉を発さずに終わってしまいました。そもそもグループ自体初めてで、あのシーンとした空気に呑まれ、誰かが言葉を発してそれに答えようとしても、まるで声帯が何かに押さえつけられてしまったかのように声が出ず、一言、二言絞り出して発言するだけで終わってしまいました。本当は言ってみたいことが沢山あったのに、発言をためらってしまう自分に、もどかしさを感じました。
2度目は「今日はためらわず、言ってみたいことは言ってみよう」と心に決めて参加しましたが、今度は話している途中で涙が止まらなくなってしまい、そんな状況に自分でもびっくりしてしまい、その後はまた何も喋れなくなってしまいました。
静かなグループのなかで、自分の心が色々な思いを抱きます。誰かが言葉を発した、それに対して言葉を発してみたい、でも言葉が出てこない、ドキドキしながらも発してみる、あ、前にいる人が答えてくれた、嬉しい、目を合わせてくれた、じゃあもう少し話をしてみようかな、でもやっぱりドキドキするなあ・・・。
戸惑い、緊張、喜び、安堵…。静かな空間にいると、自分の心の声が普段よりも大きく聞こえる気がします。喧騒の中にいる最中には聞こえない素直な思いが、まるで「気づいて!」と私に訴えかけるかのように響きます。グループは、私にとって「私の心を取り戻す」場所です。まだ二度しか経験していませんが、今のところ、そんな気がするなあと思っています。